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2010年4月 2日 (金)

読書「シアター!」

「シアター!」(メディアワークス文庫) (文庫)
有川 浩 (著)

文句なく、面白かったです。赤字ばっかりの駄目劇団。このままなし崩しに崩壊のはずが、運良く訳あり女優が舞い込んだために、主宰(泣き虫)も劇団員も周囲のサポート役(主宰の兄・鉄血宰相)も心を入れ替えて、とんとん拍子に話がすすんでうまくいくようになっていく……
という話じゃあ、ないんです。
いや、筋立てはそうなんですが。実は有川浩って、あらすじを過不足なく語るのがすごく難しい小説家だったんですね……
物事にはそのようになり来たった訳があって、それは物語の筋とちゃんとかみ合っているので、それをはずしてはちゃんとあらすじを語るというふうには言えない、のでした。
もちろん、ドリーム、ありますよ。でも、嫌みじゃない。これなら許せる、アリだなと思える。それは劇団の話だからなのかも知れないし、登場人物の性格なのかも知れない。

そんなふうに、読んでてわくわくするおもしろいいい話だったのです。

ところで、わかりやすいお芝居は評論家受けしない、メジャーになれない(ならせてもらえない)というようことを小説の中で登場人物に語らせています。そしてそういう、一般受けするような要素を切り捨てたお芝居をよしとする態度は、敷居を高くして、新規にお芝居を観に行こうという層を切り捨てているんじゃないか。、お芝居というエンターテインメントのジャンルの可能性の芽を摘んでるんじゃないか……とね。
作者が、わかりやすいだの一般受けをねらってるだのと言われてきた自分の小説に対する反論を意識的にあるいは思わず述べているのかも知れませんが、私はここを読みながら、SFというジャンルの衰亡のことを考えていました。かつてあんなにわくわくする、続きが待ち遠しい、今月の新刊を全て買いたいと思うようなあの気持ちはどこに?SFって、もっと面白かったですよ!?
ミステリーは、今も面白い。読者も作者も、新人の参入があります。ライトノベルからの、あるいはライトノベルへの、相互乗り入れも多い。
でもSFは?
かつてSFは様々なものを含んだジャンルだった。それが、「高尚なもの=わかりにくいもの」が偉い、それ以外のものは子供だましとして切り捨て……てはこなかったかしら?

多分物語の本筋とは違うのだけど、そんなことを、考えてしまいました。

出版社: アスキー・メディアワークス (2009/12/16)
言語 日本語
ISBN-10: 4048682210
ISBN-13: 978-4048682213
発売日: 2009/12/16

題名:シアター 作者:アリカワヒロ ジャンル: メディア: 

2010

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